コラム
個展で展示した写真から派生したこぼれ話を書いてまいります。
写真家・画家 岡村 泰三
1957年、東京都台東区生まれ。神奈川県在住。
横浜国立大学 教育学部美術科卒業後、編集プロダクション「草土社」勤務を経て、1991年よりフリーのライター兼フォトジャーナリストとして独立。
朝日新聞社や平凡社、週刊金曜日などの硬派系メディアでキャリアを積みながら、世界各地の撮影取材行。
その間、実働機材として古いレンズの描写に惚れ込み、2008年にはオールドレンズ専門店『ブリコラージュ 工房NOCTO』を立ち上げ、ネットを中心に運営。
2023年より日本和紙写真協会の支援作家となり、作家活動に本腰を入れる。
写真家の活動にとどまらず、絵画やAI画像などの垣根を越える領域を模索し、その表現媒体として和紙の可能性に着目している。
2016年、個展『摩天楼からお墓まで歩きましたよニューヨーク』(Paper Pool)の他 、Roonee247 Fine Arts、iia gallery、Paper Pool、Holbein Gallery、photoBar [sa-yo:]などでグループ展に多数参加。
2024年4月16日-21日には世田谷美術館区民ギャラリーにて2人展、同年7月にはアイアイエーギャラリーにて個展『気配の蜜』を開催予定。
個展では和紙写真を使用
アワガミ(徳島県)製の竹和紙やいんべ、三椏のほか、伊勢和紙(三重県)の芭蕉、白銀、雪色、あるいは和紙のイシカワ(愛媛県)の檀紙、紙キャンバスなど、表現したい作風に応じて様々な産地の特徴ある和紙を用い、顔料のみで自家プリントしています。
和紙は一般的な洋紙などに比べて繊維が長く、製造工程においてその細かい繊維と繊維が絡まることで強度を上げ、破こうとすると一目瞭然ですが薄くても丈夫な素材です。
同時に経年劣化の起きにくい中性紙という性質から、美術品には不可欠な保存性の高さという利点はいうまでもないでしょう。
また、私にとってはそれ以上に重要なのが、繊維が作り出す表面の微妙な凹凸によって陰影が生まれること。
光の加減で表情が変化したり、独特な手触りなど、いわゆる和紙ならではの風あいが魅力となっています。
プリント後もこうした風あいに変わりはなく、あるいは強調される場合もあり、のっぺりとした紙より表面に視線が止まり、絵画でいうところのマチエール(質感)と似たような生理的な反応を呼び起こすと考えています。
御礼謝辞
連日切れ間なくいらしていただいた数百人規模のご来場者に深く感謝いたします。
6点の作品をお買い上げ頂きました。
Reportage photography overseas
Fusion of washi photography and painting
Abstract watercolor painting